「顧客満足度No.1」「医師の90%が推奨」のような表示は、合理的な根拠がなく事実と異なる場合、不当表示として景品表示法上問題となります。消費者庁が措置命令を行った事案では、いずれも、実際の利用者ではなく「イメージ」を聞いた調査が根拠にされていました。表示を見たら、誰に、何を、どう聞いた調査なのかを探してください。
消費者庁が調査した背景
消費者庁は、No.1表示に関する景品表示法の措置命令が増えていること(令和5年度は44事業者のうち13事業者がNo.1表示に関するもの)を受けて、実態調査を行いました。問題になった事案はいずれも「イメージ調査」を根拠にしていました。イメージ調査とは、対象の商品や競合のウェブサイトを閲覧させ、その印象だけで「顧客満足度が高いと思うものを選んでください」と答えさせる調査です。実際の利用者に聞いたものではありません。
調査では、実際の広告から368件の表示を集め、消費者1,000人への意識調査と、広告主15社などへのヒアリングを行いました。
消費者はどう受け取っているか
意識調査では、新しい商品を買うときにNo.1表示が「かなり影響する」「やや影響する」と答えた人が約5割でした。「医師の90%が推奨」のような高評価%表示でも約5割です。
また、No.1表示を見た人の4割を超える人が「同種の他社商品より優れていると思う」「実際の利用者に調査をしていると思う」と答えています。「医師の90%が推奨」については、約5割が「医師の知見による専門的な根拠や裏付けがある」と受け取っていました。
根拠があるといえる4つの条件
消費者庁は、No.1表示に合理的な根拠があるといえるには、次の4点を満たす必要があるとしています。
| 比較対象が適切か | 「○○サービス満足度No.1」なら、市場の主要なサービスが比較に含まれている必要があります。 |
|---|---|
| 調査対象者が適切か | 「顧客満足度」と書くなら、実際に利用した人に聞いた調査であること。「医師の○%が推奨」なら、その商品を評価できる専門分野の医師であること。 |
| 調査が公平な方法か | 自社商品を選択肢の最上位に固定する、No.1になった時点で調査を打ち切る、といった方法は恣意的です。 |
| 表示の内容と調査結果が対応しているか | イメージ調査の結果であることを注記しても、「顧客満足度No.1」という表示と調査の内容が対応していなければ問題は変わりません。 |
広告主の多くは調査の中身を知らなかった
ヒアリングでは、No.1表示を行う目的として「競合他社が行っているため」という回答が多く、調査会社やコンサルティング会社からの提案がきっかけになったという回答が目立ちました。費用は1フレーズ10万円から数十万円程度で、ヒアリングを受けた広告主の多くは、根拠としている調査の質問項目や比較対象を把握していませんでした。
消費者庁は、広告主が表示の根拠を自ら確認する管理上の措置を徹底するよう求めるとともに、調査方法の概要を表示物に直接記載するか、二次元コードなどで消費者が確認できるようにすることが望ましいとしています。
調査の実施者、時期、対象者、質問の内容、比較した対象が示されているかを見てください。示されていなければ、その表示を比較の材料にしないという選び方ができます。
医療の広告では比較そのものに制限がある
医療機関の広告には、景品表示法とは別に医療法の規制があり、他の医療機関より優れていると示す比較優良広告は禁止されています。このサイトの「オンラインクリニックの選び方」では、順位や満足度ではなく、診療を行う医療機関、費用の条件、薬の説明といった確かめられる項目で比べることを勧めています。
次に読む
- 医療広告で注意したい表現の見分け方(医療広告で認められていない表現)
- 「広告・PR」表示とステルスマーケティング規制(「広告」「PR」の表示の意味)
- 広告掲載方針(このサイトの広告の扱い)
参考にした一次情報
内容を確認するときは、各機関が公開する最新版もあわせてご覧ください。
- 消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」の公表について令和6年9月26日
- 消費者庁「No.1表示に関する実態調査について」(概要資料)PDF
- 厚生労働省「医療広告等ガイドライン」PDF・令和8年3月30日最終改正。第3-1(2)比較優良広告