サプリメントは、錠剤やカプセルの形をしていても、食品として売られている物は食品として扱われます。食品が医薬品のような効能効果をうたうことは、厚生労働省の基準で医薬品とみなされる要因になります。実際より著しく優れているように見せる表示や著しく誤認させる表示は、景品表示法と健康増進法で禁止されています。求められて根拠を示せない表示は、不当表示とみなされます。
食品は「医薬品的な効能効果」をうたえない
薄毛の悩みに向けて、「髪に栄養を届ける」「抜け毛対策」などとうたうサプリメントの広告を目にすることがあります。こうした物が医薬品に当たるかどうかの基準が、「医薬品の範囲に関する基準」(昭和46年の厚生省薬務局長通知の別紙。いわゆる46通知)です。
この基準は、食品の名目で売られている物が医薬品に当たるかどうかを、次の点から総合的に判断するとしています。
- その物の成分本質(原材料)
- 形状
- 表示された使用目的・効能効果・用法用量
- 販売方法、販売の際の「演述」など
判断の手がかりのひとつが「医薬品的な効能効果」で、大きく次の2つと、それらを暗示する表現が挙げられています。
- 疾病の治療又は予防を目的とする効能効果
- 身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果
2つ目に当たる例として、疲労回復、強精強壮、体力増強、食欲増進、老化防止などが示されています。ただし、栄養補給、健康維持等に関する表現はこの限りでないとされています。
この効能効果は、明示的に書かれている場合だけでなく、暗示されている場合も含まれます。基準は、名称やキャッチフレーズ、含有成分の表示や説明、製法の説明、起源や由来の説明、新聞・雑誌の記事や医師・学者の談話、学説、経験談の引用などによって暗示する場合を挙げています。
飲み方の書き方も判断材料になります。服用時期、服用間隔、服用量などの記載がある場合は、原則として医薬品的な用法用量とみなすとされ、「1日2〜3回、1回2〜3粒」や「食前、食後に1〜2個づつ」が例として示されています。ただし、栄養機能食品の摂取の方法の記載や、食品であることを明記したうえで「栄養補給の食品として1日○粒を目安に」のように目安量を示すものは、原則として医薬品的な用法用量に当たらないとされています。
監視指導のためのマニュアル(昭和62年の通知の別添)には、「医薬品ではありません」などと医薬品でない旨を表示しても、そのことをもって医薬品に該当しないということにはならないと書かれています。
「髪に栄養を届ける」という表現
同じマニュアルは、栄養補給をうたいながら、頭髪、目、皮膚などの特定の部位への栄養補給ができる旨を表示し、その部位の改善や増強ができる旨を暗示する表現は、医薬品的な効能効果に該当するとしています。一方、「健康維持」や「美容」の表現は医薬品的な効能効果に該当せず、「栄養補給」を目的とする趣旨の表現も直ちには該当しないとされています。
食品であるサプリメントが「髪に栄養を届けて発毛を促す」「抜け毛を止める」のように、頭髪という部位の改善や増強を示す表示をすることは、食品に許された範囲を超えています。「育毛」「発毛」も、頭髪の改善や増強を示す表現です。こうした表示をしている物は、成分や形状などと合わせて総合的に判断されますが、基準は医薬品的な効能効果を標ぼうするものを原則として医薬品とみなすとしており、承認を受けていなければ無承認無許可医薬品として指導の対象になります。
根拠を示せない効果の表示は不当表示とみなされる
食品の表示には、景品表示法と健康増進法も関わります。どちらも特定の用語や文言を一律に禁止するものではなく、表示全体から個別に判断されます。健康増進法第65条第1項は、食品として販売する物の広告などで、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させるような表示をしてはならないと定めています。消費者庁のQ&Aによると、対象は医薬品を除くすべての飲食物で、錠剤やカプセルの形の食品も含まれます。「内閣府令で定める事項」には、人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことに資する効果も含まれています。
景品表示法には、不実証広告規制(第7条第2項)があります。優良誤認表示の疑いがある場合、消費者庁は事業者に、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。資料を提出しない場合や、合理的な根拠と認められない資料しか提出しない場合には、その表示は不当表示とみなされます。
消費者庁の「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」には、「白髪が黒髪になる効果」をうたった食品に対する措置命令が複数掲載されています。黒髪の人物の写真や、「Before」「After」のイラスト、「1日3粒…飲むだけで」といった表示が使われ、求められた期間内に根拠資料が提出されなかったり、提出された資料が合理的な根拠と認められなかったりした事例です。
同じ留意事項は、いわゆる健康食品で問題となる表示例として、次のようなものを挙げています。
- 健康食品では解消に至らない身体の悩みを例示し、摂取するだけで解消されるかのように見せる表示
- 医師の診断や治療によらずに疾病を治癒できるかのような表示
- 「最高級」などの最上級の表現や、「誰でも簡単に」のようにどのような場合でも効果があると受け取られる表示
- 体験談を不適切に使った表示
- 試験結果やグラフについて、試験の条件を示さなかったり、都合のよい結果だけを使ったりする表示
- 行政機関などの認証や推奨を受けたかのように見せる表示
体験談については、「個人の感想です」「効果を保証するものではありません」といった表示を添えても、虚偽誇大表示などに当たるかどうかの判断には影響しないとされています。
サプリメントの広告で確かめること
次の4つは、厚生労働省と消費者庁の資料の記載そのものではなく、その内容を踏まえたこのサイトからの提案です。
- 「発毛」「抜け毛を止める」「髪に栄養を届けて改善」のように、頭髪の改善や増強を示す表現が、名称、キャッチフレーズ、成分の説明、体験談のどこかに含まれていないか
- 「1日3回」「食前・食後に」「症状に合わせて増減」のような、薬と同じ飲み方の指定がないか
- 悩みの例示、Before/After、医師や専門家の談話・推奨、最上級の表現が使われていないか
- 効果の根拠として示されている試験の条件(対象者、人数、摂取方法など)が書かれているか
先に見たとおり、食品と明記して目安量を示すことは、原則として医薬品的な用法用量に当たらないとされています。一方、「医薬品ではありません」と注記しても、それだけで医薬品に当たらないことにはなりません。体験談に「個人の感想です」と添えてあっても、虚偽誇大表示などに当たるかどうかの判断には影響しないとされています。
困ったとき
厚生労働省は、医薬品の成分が含まれていた製品などの情報を「無承認無許可医薬品情報」のページで公表しています。使っている製品や検討している製品が掲載されていないかを確かめることができます。掲載されていないことが安全の確認を意味するわけではありません。表示と実際が違っていたなど、契約や取引で困ったときの相談先は、消費者ホットライン「188」です。最寄りの消費生活センターなどにつながります。
消費者庁のQ&Aは、健康増進法の規定を、表示どおりの効果がない食品を信じて摂取し続け、適切な診療の機会を逸してしまう事態を防ぐためのものと説明しています。気になる症状は医療機関に相談し、使っているサプリメントは診察時に医師や薬剤師に伝えてください。
次に読む
- 医薬品・医薬部外品・化粧品の違いと見分け方(医薬品・医薬部外品・化粧品の区別)
- 「No.1」「医師の○%が推奨」表示の読み方(「No.1」「医師の○%が推奨」表示の根拠)
- 薬について確認したい基礎知識
参考にした一次情報
内容を確認するときは、各機関が公開する最新版もあわせてご覧ください。
- 厚生労働省「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」昭和46年6月1日 薬発第476号 厚生省薬務局長通知。別紙「医薬品の範囲に関する基準」
- 厚生労働省「無承認無許可医薬品の監視指導について」昭和62年9月22日 薬監第88号。別添「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」Ⅱの1、Ⅳ
- 消費者庁「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」PDF・令和4年12月5日一部改定。第3の5、第4の2、第5 違反事例
- 消費者庁「健康増進法第65条第1項の適用に関するQ&A」PDF・令和6年7月作成。Q1〜Q4
- 厚生労働省「無承認無許可医薬品情報」
- 消費者庁「消費者ホットライン」