国民生活センターは2026年6月23日、ニキビ、AGA治療、痩身目的などのオンライン診療について、処方薬の定期購入にかかるトラブルが目立つとして注意を呼びかけました。公表された3件の相談事例は、1年分などの長期間の薬代を最初に決めた後でキャンセルできなかった、定期購入だと気づかないまま次の薬が届き、返品やキャンセルを断られた、といった内容です。
国民生活センターに寄せられた相談
国民生活センターは、ニキビ治療、AGA治療、痩身目的などのオンライン診療に関する相談が引き続き多く寄せられているとして、3件の相談事例を公表しました。AGA治療の事例は次のような内容です。
相談者は40歳代で、スマートフォンでAGAのオンライン診療を受け、1年分の治療薬の処方を画面上で選択して、代金約7万円をクレジットカードで支払いました。途中で服用をやめ、続けるつもりはなかったものの、1年後に医師の問診もなく1年分の治療薬が届きました。返品を求めると「1年ごとの定期購入に申し込んでいる」として断られたといいます。サイトをよく見ると定期購入の記載はあったものの、わかりづらかったとのことです(2025年6月受付)。
ほかの2件は、1年分で6万円の薬代をその場で断りづらく了承し、後からキャンセルできなかった事例と、意図せず定期購入になっていて2回目の薬が届き、注文済みの分はキャンセルできないと言われた事例です。1件では、医師から薬の効果は聞いたが、副作用の説明は受けていないとも述べられています。
事例から読み取れる注意点
国民生活センターは3件の共通点をまとめてはいませんが、読み比べると次の点が重なります(かっこ内は該当する事例)。
- 1年分など長期間の薬代を最初の診察のときに決めると、途中でやめても返金や取り消しが難しいことがある(AGA治療の事例と、1年分6万円の事例)
- 定期購入である旨の記載が申込みの画面で見つけにくい、または意図せず定期購入になっていることがある(AGA治療の事例と、2回目の薬が届いた事例)
- 2回目以降の薬が届いた後は、注文済みの分の返品や解約に応じてもらえないことがある(AGA治療の事例と、2回目の薬が届いた事例)
国民生活センターの助言
同センターは、消費者に向けた助言を公表しています。AGA治療に関係するものを抜粋します。
- オンライン診療を受けるときは、治療の内容、処方薬、副作用などのリスク、万が一のときの対応について、医師からしっかり説明を受ける
- 受診後に処方薬を購入する場合は定期購入になっているケースが多く、1年分など長期間の薬が処方されるケースもある。解約できる場合でも条件が付いていることが多いため、契約内容と解約条件、とくに長期間の処方は事前によく確認する
- 少しでも不安に思ったら、早めに消費生活センターなどに相談する
- 副作用などの症状が出た場合は、速やかに医療機関を直接受診する
厚生労働省の指針が医師に求めていること
厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は、オンライン診療を行う医師に対して、次のことを「最低限遵守する事項」として定めています。
- 初診からオンライン診療を行う場合は、診察の後に、次回の診察の日時と方法、症状が悪化したときの対面診療の受診先など、その後の方針を患者に説明すること。診療を続ける場合は、速やかに「診療計画」を定めること
- 基礎疾患などの情報が把握できていない患者には、初診で8日分以上の処方を行わないこと
- 重篤な副作用が起こるおそれのある医薬品の処方はとくに慎重に行い、処方後の服薬状況の把握に努めること
また、指針は考え方として、オンライン診療の利点と生じるおそれのある不利益を医師が患者に十分に説明したうえで合意を得ること、医薬品を処方する前に患者の心身の状態を十分に評価し、適切な用量・日数を処方して過量処方にならないようにすることを示しています。
これらは医師の側の決まりですが、患者の側からも、処方される日数と次の診察の予定が合っているか、2回目以降の薬が診察なしで届く仕組みになっていないかを確かめる手がかりになります。
指針は、オンライン診療と対面診療の組み合わせや、次の診察をいつどのように行うかを、医師が患者に説明することを求めています。申し込む前に、次回の診察の予定と、その前に薬が届くことがあるのかを質問してください。答えがあいまいなときは、その場で申し込まなくてもかまいません。
処方薬を申し込む画面で確かめること
- 1回だけの購入か、定期購入か。定期購入なら、何か月ごとに何日分が届くか
- 今回支払う金額と、2回目以降の金額、契約期間全体の総額
- 2回目以降の発送日と決済日。その前に診察や問診があるか
- 解約・変更の方法と締切。発送後の返品や、長期処方の未使用分の扱い
- 処方される日数と、次回の診察の日時・方法
- 副作用の説明と、体調が変わったときの連絡先
確認した画面は、申込みを確定する前にスクリーンショットで保存しておくと、後から条件を確かめるときに役立ちます。通信販売の定期購入で、申込みの最後の画面に表示が義務づけられている項目は「定期購入の最終確認画面で見るべき6つの項目」で説明しています。処方薬の申込み画面を確かめるときの目安になります。
届いてしまったとき、不安なとき
国民生活センターは、不安を感じたり解約時にトラブルになったりした場合には、一人で悩まず最寄りの消費生活センターなどに相談するよう呼びかけています。消費者ホットライン「188」に電話すると、お住まいの市区町村や都道府県の消費生活センターなどが案内されます。副作用などの症状が出た場合は、速やかに医療機関を直接受診してください。
次に読む
- 治療や契約で困ったときに相談できる公的な窓口(医療と契約、それぞれの相談窓口)
- 費用を見るときのチェックポイント(金額の見方)
- 予約から診療後までの流れ(予約から薬の受取りまでの各段階)
参考にした一次情報
内容を確認するときは、各機関が公開する最新版もあわせてご覧ください。
- 国民生活センター「ニキビ、AGA治療や痩身目的等のオンライン診療のトラブルにご注意」2026年6月23日公表
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」PDF・令和8年4月改訂。Ⅴ1の(1)(3)(5)
- 消費者庁「消費者ホットライン」