「月額○円から」「初回○円」のような表示は、最も安い条件の価格を示していることがあります。消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」は、販売価格だけでなく、その価格が適用される範囲と顧客の条件を正確に示すよう求めています。強調された価格の例外や制約を示す表示を「打消し表示」といいます。価格とこの表示の両方を見て、自分に当てはまる条件を確かめてください。
価格の表示で正確さが求められる3つの点
消費者庁の考え方は、販売価格が表示されると、消費者はその価格で購入できると認識するとしたうえで、次の3点を正確に表示する必要があるとしています。
- 販売価格
- その価格が適用される商品やサービスの範囲(関連する商品やサービスが一体で提供されているかなど)
- その価格が適用される顧客の条件
これらについて実際と異なる表示やあいまいな表示を行うと、価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがあるとされています。
不当表示に該当するおそれのある表示として、次のような例が挙げられています。
- 実際の販売価格より安い価格を販売価格として表示すること
- 通常は他の商品やサービスと一体で提供されるものについて、その対価を別途請求するのに、その旨を明示せずに商品の販売価格だけを表示すること
- 表示された価格が適用される顧客が限定されているのに、その条件を明示せずに販売価格だけを表示すること
1つ目に当たる事例として、「1平方メートル100,000円〜」などと表示しながら、実際には約148,000円からだった分譲宅地の例が示されています。
「○円から」という表示を見たときは、その価格がどの範囲に、どの条件の人に適用されるのかを確かめることになります。
「初回○円」と打消し表示
断定的な表現や目立つ表現で、商品やサービスの内容や、価格などの取引条件を強調した表示を「強調表示」、強調表示だけでは分からない例外や制約を示す表示を「打消し表示」といいます。消費者庁の留意点は、強調表示に例外などがあるときは、打消し表示を分かりやすく適切に行わなければ、強調表示が誤認され、景品表示法上問題となるおそれがあるとしています。
内容の面では、次のような打消し表示について、消費者が実際よりも著しく有利だと誤認するときは、景品表示法上問題となるおそれがあるとされています。
「別条件型」は、割引の期間や料金が強調される一方、それが適用される別の条件が打消し表示に書かれていて、読んでも理解できない場合です。例えば、定期購入契約で初回の価格の安さなどが強調される一方、解約条件が打消し表示に書かれていて読んでも理解できない場合、消費者は解約条件を理解できず、契約期間内の総額費用について誤認すると考えられるとされています。
「追加料金型」は、「全て込み」などと追加料金が発生しないかのように強調しながら、別に追加料金が発生する旨を打消し表示に書いていて、読んでも理解できない場合です。
表示の方法の面では、文字が小さい、強調表示と打消し表示の文字の大きさのバランスが悪い、配置が離れている、背景と区別しにくい、といった要素から総合的に判断されます。スマートフォンの画面については、強調表示と打消し表示の距離、タップしないと開かないアコーディオンパネルの中に打消し表示があること、申込みなどの操作に進むボタン(コンバージョンボタン)の配置なども要素として挙げられています。
割引率の表示
同じ消費者庁の考え方は、最大の割引率が適用されるのは一部に限られるのに、「5〜20%」のように幅で示して「20%」だけを大きく強調し、多くの商品に最大割引率が適用されるかのように見せる表示も、不当表示に該当するおそれがあるとしています。幅のある表示では、自分に適用されるのがどちら側の数字かを確かめてください。
医療機関のサイトでは費用の示し方に決まりがある
厚生労働省の「医療広告等ガイドライン」には、医療機関がウェブサイトなどで、広告できる事項の限定を解除して自由診療の治療を紹介する場合の要件があります。治療の名称や最低限の治療内容・費用だけを紹介して患者を誤認させ、不当に誘引すべきではないとし、通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間および回数を掲載するよう求めています。標準的な費用が明確でない場合には、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額(発生頻度の高い追加費用を含む)までの範囲を示すなどして、可能な限り分かりやすく示すこととされています。
また、こうした情報の掲載場所について、リンクを張った先のページに掲載したり、利点や長所に関する情報と比べて極端に小さな文字で掲載したりといった形式を採用しないこととも書かれています。
申込みの前に、価格の表示で確かめること
以上をふまえて、申込みの前に見ておきたい点を5つにまとめました。消費者庁と厚生労働省の資料の記載そのものではなく、このサイトからの提案です。
- 表示された価格が適用される条件。初回だけなのか、何回目から、いくらになるのか
- 診察料、薬代、送料、システム利用料などが価格に含まれているか、別にかかるか
- 定期的に届く契約の場合、解約の条件と方法、最低回数の有無
- 注記が、小さな文字、離れた場所、折りたたまれた部分にだけ書かれていないか
- 医療機関のサイトなら、標準的な費用、治療期間、回数が本文に書かれているか
困ったとき
表示と実際の条件が違っていたなど、契約で困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターなどを案内してもらえます。
次に読む
- 定期購入の最終確認画面で見るべき6つの項目(申込みの最後の画面で見る項目)
- 「No.1」「医師の○%が推奨」表示の読み方(「No.1」表示の根拠の確かめ方)
- 費用を見るときのチェックポイント(支払総額のそろえ方)
参考にした一次情報
内容を確認するときは、各機関が公開する最新版もあわせてご覧ください。
- 消費者庁「表示規制の概要」
- 消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」PDF・第3 販売価格に関する表示、第5 割引率又は割引額の表示
- 消費者庁「打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点」PDF・平成30年6月。第2 表示方法、第3 表示内容
- 厚生労働省「医療広告等ガイドライン」PDF・令和8年3月30日最終改正。第3の3 限定解除の要件③(自由診療の費用等)
- 消費者庁「消費者ホットライン」