オンライン診療は、画面越しの会話だけで最後まで完結するとは限りません。厚生労働省の指針は、オンライン診療で得られる情報には限りがあるため対面診療を組み合わせる必要があるとし、医師が適切でないと判断したときは対面診療につなげるよう求めています。指針は、対面診療が必要になったときの受診先を、かかりつけの医師がいるかどうかなどに分けて示しています。
対面診療と組み合わせることが原則
指針は、オンライン診療で得られる情報は視覚と聴覚に限られ、その中で病気の見落としや誤診をできる限り防ぐ必要があるとしています。医師は、オンライン診療の合意を得る前に、触診などができないため得られる情報が限られ、対面診療を組み合わせる必要があることを、患者に説明することになっています。
一部の診療については、条件を満たす場合に例外的な扱いが認められています。指針が挙げているのは、禁煙外来と緊急避妊に係る診療です。
対面診療が必要と判断される場面
指針は、オンライン診療を始めた後であっても、オンライン診療が望ましくないと判断される場合は、対面による診療を行うべきだとしています。指針から読み取れる場面は、主に次の5つです。
| 医師が、その回のオンライン診療は適切でないと判断したとき | 医師は、オンライン診療を行うたびに、医学的な観点から実施できるかを判断します。適切でないと判断した場合は、オンライン診療を中止し、速やかに適切な対面診療につなげることとされています。 |
|---|---|
| 症状がオンライン診療に適さないとき | 医師は、日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」などを踏まえて判断し、適さない場合は対面診療を行うか、対面診療ができる医療機関を紹介します。緊急性が高い症状の場合は、速やかに対面での受診を促すこととされています。 |
| 急病や急変のとき | 原則として、直接の対面による診療を行うとされています。 |
| 診療計画で決めた条件に当てはまったとき | 診療計画には、オンライン診療を行わないと判断する条件と、その条件に当てはまったときは対面診療に切り替えることを含めることになっています。通信の障害でオンライン診療ができなくなる場合も、ここに含まれます。 |
| 診療前相談で対面での受診が必要と判断されたとき | 初診の前に行う診療前相談の結果、オンライン診療に進めないことがあります。 |
どこを受診することになるのか
オンライン診療の後に対面診療が必要になった場合の受診先について、指針は次のように整理しています。
- かかりつけの医師がいる場合:オンライン診療を行った医師がかかりつけの医師に紹介し、かかりつけの医師が対面診療を行うことが望ましい
- かかりつけの医師がいない場合など:オンライン診療を行った医師が対面診療を行うことが望ましいが、患者の近くの、対面診療ができる医療機関に紹介することも想定される
- オンライン診療を行った医師では対応が難しい病気や状態の場合、緊急性がある場合:その医師が、より適切な医療機関に自分で連絡して紹介することが求められる
かかりつけの医師ではない医師が、診療前相談を経て初診からオンライン診療を行う場合について、指針は、診療の後に適切に対面診療につなげられるようにしておくことを、安全なオンライン診療の体制として求めています。具体的な対応として、次のことを挙げています。
- 患者の所在地に応じた地域の医療機関との間で、対面診療への移行について連携の体制を整えておくこと
- 医師が対面での受診が必要と判断した場合は、受診できる医療機関へ医師から連絡し、診療情報の提供などを行って、患者を確実に対面診療へつなぐこと
- すぐに対面での受診が必要ではない場合も、医師が必要と判断したときは、緊急時の相談体制の案内などを行うこと
オンライン診療では、住んでいる場所から離れた医療機関を選ぶこともあります。その分、対面診療が必要になったときに、どこで、誰に診てもらうのかが大切になります。予約の前に、対面診療が必要になった場合の受診先と、紹介や診療情報の提供の方法を確認してください。
診療情報は引き継がれるのか
診療前相談で対面での受診が必要と判断し、対面診療を行うのが別の医療機関である場合は、診療前相談で得た情報を、必要に応じて適切に提供することが求められています。
急変が想定される病気で、オンライン診療を行う医師が自分では対応できないことが想定される場合は、急変に対応できる医療機関に必要な医療情報が事前に伝わるよう、体制を整えておかなければならないとされています。
患者の側で準備できること
予約の前と、診療を続けるときに、次の点を確かめてください。
- 対面診療が必要になったときの受診先を、医療機関に確認したか
- その受診先は、自分が通える場所にあるか
- 別の医療機関を受診する場合、紹介状や診療情報の提供を受けられるか
- 症状が悪化したときや、夜間・休日に、どこへ連絡すればよいか
- 通信がつながらず診療できなかったとき、どう対応するかの説明があったか
体調の変化を感じたときは、次のオンライン診療を待たずに連絡してください。
次に読む
- オンライン診療の「診療計画」で確認したい9つの項目(切り替えの条件が書かれる「診療計画」)
- 初診からオンライン診療を受けるときのルール(初診と診療前相談の決まり)
- オンラインクリニックの選び方(医療機関を選ぶときに見る項目)
参考にした一次情報
内容を確認するときは、各機関が公開する最新版もあわせてご覧ください。
- 厚生労働省「オンライン診療について」
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」PDF・令和8年4月改訂。Ⅴ1の(1)患者合意、(2)適用対象、(3)診療計画