患者の側にも決まりがある

厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」は、医師の側だけでなく、患者が診療を受ける場所についても、清潔で安全であること、外部から隔離された空間であることを「最低限遵守する事項」としています。使うアプリや端末についても、医療機関がリスクを患者に説明し、患者側にも負うべき責任があることを明示するよう求めています。

受診する場所に求められていること

指針によると、医療は医療法上、病院や診療所などの医療提供施設(オンライン診療受診施設を含む)か患者の居宅等で提供しなければならず、この扱いはオンライン診療でも変わりません。指針はそのうえで、患者がオンライン診療を受ける場所について、患者の側に関わる次の2点を「最低限遵守する事項」に挙げています。

  • 対面診療が行われる場合と同程度に、清潔かつ安全であること
  • プライバシーが保たれるよう、患者が物理的に外部から隔離される空間であること

あわせて、第三者に患者の個人情報や医療情報が伝わることのないよう、プライバシーに十分配慮された環境で行われるべきだとも述べています。認められる場所の例としては、患者の日常生活などの事情によって異なるものの、患者の勤務する職場なども、療養生活を営むことのできる場所として挙げられています。

場所を選ぶときの工夫

指針の定めではなく、このサイトからの提案です。自宅であれば、扉を閉められて会話が周囲に聞こえない部屋を用意してください。職場で受ける場合は、会議室のように外部から仕切られた場所を選び、周囲に人が出入りしない時間帯に予約すると落ち着いて受けられます。

同席者と録音・録画のルール

指針では、医療機関が行うべき対策のひとつとして、患者がいる空間に第三者がいないことを確認することが挙げられています。家族などや、機器の使用などを支援する「オンライン診療支援者」(家族でも医療・介護従事者でもよいとされている)が同席することは、医師と患者の双方が同意している場合に限って認められています。

また、意図しない第三者が通信に紛れ込む「三者通信」や、患者のなりすましが起きていないことに医師が留意すること、患者側・医師側ともに同意なしに録音、録画、撮影を行わないよう確認することも示されています。家族に一緒に説明を聞いてほしい場合は、診察の前に医師へ伝えて同意を得ておいてください。

使うアプリと端末について患者が守ること

医療機関は「診療計画」を作るときに、オンライン診療に伴うセキュリティとプライバシーのリスクを患者に説明し、患者側にも負うべき責任があることを明示しなければならないとされています。患者に実施を求めるべき内容として挙げられている基本事項は、次のとおりです。

  • 使用するシステムに伴うリスクを把握すること
  • 使用するアプリケーションやOSが適宜アップデートされることを確認すること
  • 医師側の了解なく、ビデオ通話を録音、録画、撮影しないこと
  • 医師のアカウントなどの情報を、診療に関わりのない第三者に提供しないこと
  • 医師との通信中は、第三者を参加させないこと
  • ビデオ会議などの汎用サービスを使う場合は、患者側から発信しないこと

さらに、医療機関の情報システムに影響を及ぼしうるケースだと医療機関が判断し、患者に通知した場合の決まりもあります。原則として、医療機関が求めない限り、または指示に反して、チャット機能の利用やファイルの送付などは行わないこととされています。特に外部URLへの誘導を含むチャットは、セキュリティリスクが高いため行わないこととされています。

医師の本人確認ができる状態か

医療機関には、患者がいつでも医師の本人確認と所属医療機関の確認ができるように必要な情報を準備すること、オンライン診療システムを使う場合はその情報と医療機関の問い合わせ先をシステム上に掲載することが求められています。医師が身分証明書を用いて氏名を示すことも、指針の定めです。診察に使う画面やアプリで、医師の氏名と医療機関の連絡先を確認できるか見ておいてください。医師の資格を公的な情報で確かめる方法は「医療機関と医師を公的な情報で確認する方法」に書いています。

通信がうまくいかないとき

指針は、医師が定める「診療計画」に、オンライン診療を行わないと判断する条件と、その条件に該当した場合に対面診療に切り替える旨を含めることとしています。この条件には、情報通信環境の障害などによりオンライン診療を行えなくなる場合も含まれます。

指針は、患者の側もオンライン診療では医師に伝えられる情報に限界があることを理解すべきだとしています。うまく情報が伝わらないなどの理由で医師がオンライン診療の中止を決めたときは、その判断が尊重されるべきだ、というのが指針の考え方です。機器の使用に慣れていない人は、オンライン診療支援者に機器の使用を支援してもらうことが認められています。その場合、医師が支援者にあらかじめ機器の使い方やリスクを説明していることが望ましいとされています。

受診の前に整えておくこと

  • 扉を閉められて会話が周囲に聞こえない、清潔な場所を用意する
  • 家族などに同席してほしい場合は、事前に医師へ伝えて同意を得る
  • 診察に使うアプリとOSが更新されていることを確認する
  • 医師の了解なく録音・録画・撮影をしない。医師のアカウント情報を他人に教えない
  • 医療機関から求められていない限り、チャットの利用やファイルの送付、外部URLを含むチャットは行わない
  • 医師の氏名と医療機関の問い合わせ先を、画面で確認できるか見ておく
  • 通信が切れたときの連絡方法と、対面診療に切り替わる条件を、事前の説明で確認する

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参考にした一次情報

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