献血の問診票は、「プロペシア・プロスカーなど(1ヵ月以内)、アボダート・アボルブなど(6ヵ月以内)」を使ったことがあるかを聞いています。厚生労働省の教材によると、胎児に対する催奇形性が指摘されているためで、同じ成分を含むジェネリック医薬品も同様の扱いとされています。大阪府と福岡県の赤十字血液センターは、フィナステリドは服薬中止後1か月、デュタステリドは6か月、献血できないと案内しています。日本赤十字社は、献血できるかどうかは当日の体調も考えて献血会場の医師が総合的に判断するとしています。
問診票で聞かれること
厚生労働省が高等学校などに配っている献血の教材(2026年版の教員用テキスト)は、献血を希望する人は問診票の質問に正しく答える必要があるとしています。問診は、感染してから検査で見つけられるようになるまでの期間などで、検査の限界を補う唯一の方法と説明されています。事実と異なる回答をすると、輸血を受けた患者に深刻な状況をもたらす場合があるとも書かれています。
AGA治療薬に関係する質問は、次の2つです。
| 質問3 | 「3日以内に薬を飲んだり、注射を受けましたか。」 |
|---|---|
| 質問4 | 「次の育毛薬/前立腺肥大症治療薬を使用したことがありますか。」 「プロペシア・プロスカーなど(1ヵ月以内)、アボダート・アボルブなど(6ヵ月以内)」 |
日本赤十字社が公開している問診事項にも、同じ内容の質問があります。質問4に書かれているのは販売名ですが、教材の解説は、同じ成分を含むジェネリック医薬品も同様の扱いになるとしています(下の「海外製の薬とジェネリック医薬品」を参照)。
薬ごとの期間
教材の解説は、質問4の薬を「アンチアンドロゲン系ホルモン剤」と呼び、胎児に対する催奇形性が指摘されているため、プロペシア・プロスカーなどは服用後1か月間、アボダート・アボルブなどは服用後6か月間、献血してはいけないとしています。
大阪府と福岡県の赤十字血液センターは、AGA治療薬として成分名と販売名を並べ、フィナステリドは「服薬中止後1カ月」、デュタステリドは「服薬中止後6カ月」献血できないと案内しています。岩手県赤十字血液センターの資料も、延期の期間は薬ごとに定めるとしたうえで、同じ期間を示しています。これらの資料にある名前と期間を、成分ごとに並べると次のとおりです。
| フィナステリド | 服用後1か月 (問診票や血液センターの案内にある名前は、プロペシア、プロスカー、フィンペシア、フィンカーなど) |
|---|---|
| デュタステリド | 服用後6か月 (問診票や血液センターの案内にある名前は、アボダート、アボルブ、ザガーロ、デュタスなど) |
問診票と教材は、前立腺肥大症の治療薬であるアボルブも、6か月の対象に挙げています。岩手県の資料も同じです。大阪府と福岡県の血液センターは、当日服用していても献血できる薬に「前立腺肥大・頻尿治療薬」を挙げつつ、アボルブとデュタステリドは除くとしています。
海外製の薬とジェネリック医薬品
教材の解説には、プロスカーとアボダートは日本では医薬品として未承認だが、育毛薬として個人輸入して飲んでいる人がいる、と書かれています。そのうえで、同じ成分を含むジェネリック医薬品(デュタス、フィンペシア、フィンカーなど)も同様の扱いになるとしています。
教材と血液センターの案内では、日本で未承認の製品や、同じ成分のジェネリック医薬品も、同じ期間の対象に挙がっています。手元の薬の成分が分からないときは、薬の説明書やお薬手帳を見るか、処方した医療機関に確かめてください。国内で承認されていない薬を使う自由診療で、医療機関が示すべき表示は、記事「未承認薬を使う自由診療で確認したい5つの表示」にあります。個人輸入の注意点は、記事「医薬品の個人輸入を考える前に確認したいこと」にあります。
ミノキシジルなど、ほかの薬
ミノキシジルは、問診票の質問4に挙がっていません。ただし、質問3では3日以内に飲んだ薬を聞いています。教材の解説は、3日以内に抗菌薬や抗ウイルス薬などを飲んだ人や、点滴や注射を受けた人は献血してはいけないとしています。そのほかの薬でも、病気や薬の影響で献血できない場合があるので、問診のときに医師に相談するよう求めています。
大阪府赤十字血液センターの案内は、AGA治療薬のうち、ミノキシジルの錠剤と外用薬は当日使用していても献血できるとしています。同じページは、挙げている薬は主なもので、献血できるかは当日の健診医師が最終的に判断するとしています。福岡県の案内と岩手県の資料には、ミノキシジルについての記載が見当たりません(2026年10月に確認した時点)。
日本赤十字社の献血基準のチャットボットは、薬が残ることによる血液への影響のほか、薬を使う目的になった病気とその治療の状況をもとに、献血できるかを判断するとしています。
献血の前に確かめること
以下は、教材と血液センターの案内を踏まえた、このサイトからの提案です。
- 使っている薬の成分名(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど)
- 最後に使った日と、そこから1か月または6か月が過ぎているか
- 薬の名前を伝えるためのメモか、お薬手帳(大阪府と福岡県の血液センターは、薬の名前を知らせるか、お薬手帳を持参するよう案内している)
- 問診票の質問3と質問4に、事実のとおりに答えられるか
献血のために薬をやめるかどうかを、自分で決めないでください。日本赤十字社のチャットボットは、医師の診断で処方されている薬について、献血を目的に服用を中止することは控えるよう求めています。迷うときは、処方した医師か、行く予定の献血会場がある都道府県の赤十字血液センターに相談してください。
最後に判断するのは献血会場の医師
厚生労働省の教材にある献血基準は、採血するかどうかは医師が問診の結果などを踏まえて総合的に判断するとしています。大阪府と福岡県の血液センターも、挙げている薬は主なもので、献血できるかは当日の健診医が最終的に判断すると案内しています。この記事の期間は目安として使い、当日の問診で医師に薬の名前を伝えてください。
次に読む
- 医薬品の個人輸入を考える前に確認したいこと(海外製の薬を自分で取り寄せるときの注意)
- 薬の添付文書と患者向医薬品ガイドの読み方(薬の成分名を公式な情報で確かめる)
- ジェネリック医薬品(後発医薬品)の基礎知識
- 薬について確認したい基礎知識
参考にした一次情報
内容を確認するときは、各機関が公開する最新版もあわせてご覧ください。
- 厚生労働省「献血を理解するための生徒用テキストについて(2026年版)」教員用テキストの「問診票の解説」(令和7年10月時点。質問3、質問4)、「献血基準」「献血いただく前に」
- 日本赤十字社「採血基準・問診事項」
- 日本赤十字社「献血基準に関するチャットボット」ページ冒頭の留意事項
- 大阪府赤十字血液センター「献血いただく前にご確認ください」(3)服薬と献血について
- 福岡県赤十字血液センター「服薬と献血について」
- 岩手県赤十字血液センター「薬の服用と献血ができるまでの期間について」PDF・2022年11月2日付