外用薬には国内で承認されたものがある

ミノキシジルの外用薬には、壮年性脱毛症の発毛剤として国内で承認され、一般用医薬品として販売されているものがあります。飲み薬は、日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)が日本では「認可されていない」としています。PMDA(医薬品医療機器総合機構)の医療用医薬品の検索でも、添付文書は見当たりません(2026年10月時点)。同じガイドラインは、外用を「行うよう強く勧める」(男性型脱毛症は5%、女性型脱毛症は1%)、内服を「行うべきではない」としています。内服薬を使う治療を提案されたときは、未承認の薬であることと、その薬を選ぶ理由を確かめてください。

外用薬の説明書に書かれていること

この記事で読んだのは、ミノキシジルを5%配合した一般用医薬品「リアップX5」の説明書です。PMDAのウェブサイトに掲載されています。医師の処方箋は要りませんが、販売のときに薬剤師が情報提供をすることとされている第1類医薬品です。ミノキシジルを配合した一般用医薬品はほかにもあります。使用上の注意は、製品ごとの説明書で確かめてください。

説明書には、次のように書かれています。

効能・効果 壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防
用法・用量 成人男性(20歳以上)が、1日2回、1回1mLを脱毛している頭皮に塗布する
使用しない人 この薬やその成分でアレルギー症状を起こしたことがある人、女性、未成年者(20歳未満)、壮年性脱毛症以外の脱毛症の人や原因のわからない脱毛症の人、脱毛が急激な人や髪が斑状に抜けている人
使い方の制限 頭皮にだけ使う。きず、湿疹、炎症(発赤)などがある頭皮には使わない。この薬を使う間は、ほかの育毛剤や外用剤(軟膏、液剤など)を頭皮に使うことは避ける
使用前に医師か薬剤師に相談する人 薬や化粧品などでアレルギー症状を起こしたことがある人、高血圧や低血圧の人、心臓や腎臓に障害のある人、むくみのある人、家族や兄弟姉妹に壮年性脱毛症の人がいない人、高齢者(65歳以上)、甲状腺機能障害の診断を受けている人
効果がわかるまで 少なくとも4か月間、毎日使用する。6か月間使用しても、脱毛状態の程度、生毛・軟毛の発生、硬毛の発生、抜け毛の程度のいずれにも改善が認められない場合は、使用を中止して医師か薬剤師に相談する。6か月以内でも、脱毛状態の悪化や、頭髪以外の脱毛、斑状の脱毛、急激な脱毛が見られた場合は、同じように相談する

説明書は、頭皮にだけ使い、内服しないよう求めています。血圧が下がるなどのおそれがあると説明しています。決められた量や回数より多く使っても効果の増加はほとんどなく、副作用が起こる可能性が高くなるとも書かれています。

次の症状があらわれた場合は、副作用の可能性があるとして、直ちに使用を中止して医師か薬剤師に相談するよう求めています。

皮膚 頭皮の発疹・発赤(頭皮以外にあらわれることもある)、かゆみ、かぶれ、ふけ、使用部位の熱感など
精神神経系 頭痛、気が遠くなる、めまい
循環器 胸の痛み、心拍が速くなる
代謝系 原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみ

効果については、「本剤は誰にでも効果があるわけではありません」「使用を中止すると徐々に元に戻ります」と書かれています。効果を維持するには継続して使用することが必要で、壮年性脱毛症の原因を取り除くものではないともされています。女性については、この製品は日本人女性での安全性が確認されていないとして、ミノキシジルを1%配合した別の製品を案内しています。

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」は、外用薬の有害事象として、かゆみ、紅斑、落屑、毛包炎、接触皮膚炎、顔面の多毛などが報告されているとしています。使い始めの時期に休止期脱毛がみられることがあり、患者への説明が必要とも書かれています。

飲み薬について、ガイドラインが書いていること

このガイドラインは、2016年12月までに検索できた文献をもとに作られています。ミノキシジルの内服については、降圧剤として開発されたが日本では「認可されていない」としています。男性型脱毛症の治療薬として認可している国もなく、内服の有用性についての臨床試験も実施されていないと書かれています。いずれも当時の記述で、その後に発表された研究は反映されていません。PMDAの医療用医薬品の検索では、ミノキシジルの添付文書は見当たりません(2026年10月時点)。

ガイドラインは、内服薬の副作用について次の2点を挙げています。

  • 全身の多毛症を起こす副作用があること
  • 多毛症以外の副作用の報告は少ないものの、内服用製剤の添付文書の市販後調査欄に、胸痛、心拍数増加、動悸、息切れ、呼吸困難、うっ血性心不全、むくみや体重増加などの重大な心血管系障害が生じるとの記載があること

そのうえで、利益と危険性が十分に検証されていないため、男性型脱毛症にも女性型脱毛症にも行わないよう強く勧められるとしています。全身の多毛症を起こす副作用があることを根拠に、医師が安易に処方したり、一般の人が個人輸入で入手して服用したりすることがあり、医薬品医療機器等法の観点から問題視されているとの記載もあります。

ガイドラインの推奨度を並べる

ミノキシジルの外用 推奨度A。「行うよう強く勧める」(男性型脱毛症は5%、女性型脱毛症は1%)
ミノキシジルの内服 推奨度D。「行うべきではない」

同じ成分でも、塗るか飲むかで推奨度が分かれています。免責事項には、診療ガイドラインは個々の症例に応じて柔軟に使うもので、医師の裁量権を規制し治療方針を限定するものではないと書かれています。同じ免責事項には、未承認薬の使用にあたっては、各医療機関の承認や、患者あるいは家族のインフォームド・コンセントが前提になるとも書かれています。

内服薬を提案されたときに確かめること

自由診療では、国内で承認されていない薬が使われることがあります。厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、こうした薬を使う治療をウェブサイトで紹介する医療機関に、5つの事項の記載を求めています。未承認であること、入手経路、国内の承認薬の有無、海外での安全性に関する情報、公的な救済制度の対象にならないことです。承認している国がないなど情報が不足している場合は、重大なリスクが明らかになっていない可能性があることを明示するよう求めています。内容は「未承認薬を使う自由診療で確認したい5つの表示」に書きました。

国内で承認されていない薬の使用は、重い副作用が出ても、医薬品副作用被害救済制度の対象になりません。同省のガイドラインがそう記しており、PMDAも、制度の対象は製造販売の承認・許可を受けた医薬品だと説明しています。制度のあらましは「医薬品副作用被害救済制度の基礎知識」にあります。

診察で確かめる

  • 提案された薬が塗り薬か飲み薬か。有効成分の量はどれだけか
  • 国内で承認された薬かどうか。承認されていない場合の入手経路
  • 飲み薬を選ぶ理由と、想定されるリスク
  • 血圧、心臓、腎臓の病気や、むくみがある場合の扱い
  • 承認されている外用薬を使う選択肢があるか
  • 体調が変わったときの連絡先

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参考にした一次情報

内容を確認するときは、各機関が公開する最新版もあわせてご覧ください。