PSAは2倍した値が目安

フィナステリドとデュタステリドの添付文書には、前立腺がんの検査で測るPSA(前立腺特異抗原)の値が下がると書かれています。前立腺がんの診断の目的で測る場合は、2倍した値を目安に評価することとされています。患者向医薬品ガイドは、PSAの検査を受けるときに、薬を飲んでいることを検査をする医師に伝えるよう求めています。どちらの添付文書も、重大な副作用に肝機能障害を挙げています。特定健診の基本的な項目には、肝機能の検査(AST、ALT、γ-GT)と血圧の測定が含まれます。

健診の問診票で聞かれる薬

厚生労働省の「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」には、特定健診で使う標準的な質問票が載っています。薬について聞く質問は、次の3つです。

  • 血圧を下げる薬
  • 血糖を下げる薬又はインスリン注射
  • コレステロールや中性脂肪を下げる薬

同じ資料の解説によると、この3つの質問は、保健指導の対象者の選定と階層化のために必要なものです。質問票の注には、医師の診断・治療のもとで服薬中のものを指すと書かれています。AGAの治療のために処方されたフィナステリド、デュタステリド、外用のミノキシジルは、この3つのどれにも当てはまりません。この3つの質問に答えるだけでは、AGA治療薬を使っていることは伝わりません。

一方で、この記事で読んだフィナステリドとデュタステリドの患者向医薬品ガイドは、どちらも、ほかの医師を受診する場合や薬局で薬を買う場合は、この薬を飲んでいることを医師または薬剤師に伝えるよう求めています。健診の問診や診察で、使っている薬の名前を伝えてください。問診票に「そのほかの薬」などの欄がある場合は、そこに成分名を書いてください。

PSAの値が下がる

PSAは、前立腺がんのスクリーニングで重要な指標とされる血液検査の値です。特定健診の基本的な項目と詳細な健診の項目には、PSAは挙がっていません。同じプログラムは、特定健診以外の健診では、制度の目的や対象となる集団の特性、健康課題を踏まえて、必要に応じて基本的な項目以外の検査も行うとしています。人間ドックや職場の健診でPSAを測る場合や、前立腺の検査を受ける場合に、この節の内容が関係します。

フィナステリド

この記事で読んだのは、「プロペシア錠」の添付文書と患者向医薬品ガイドです。添付文書によると、国内の24歳から50歳の男性型脱毛症患者で、血清PSAの濃度が約40%低下しました。海外の臨床試験では、高年齢層の前立腺肥大症患者で約50%低下したとされています。そのため、前立腺がんの診断の目的でPSAを測る場合は、2倍した値を目安として評価することとされています。

デュタステリド

この記事で読んだのは、「ザガーロカプセル」の添付文書と患者向医薬品ガイドです。添付文書は、前立腺肥大症の患者に1日0.5mgを投与すると、前立腺がんがある場合でも、6か月後にPSAの値が約50%減ると説明しています。男性型脱毛症の患者でも、臨床試験の結果から値が減ると推測されるとしています。

同じ添付文書は、医師に向けて、前立腺がんなどの検査に際しては次の点に注意するよう求めています。

  • 6か月以上服用している人の値は、測定値を2倍した値を目安に基準値と比べる
  • 服用を始めて6か月以降の値を新たな基準にして、そこからの変動をみる
  • 服用前の値が基準値未満でも、前立腺がんの診断を除外しない
  • 服用中に値が上がり続ける場合は、前立腺がんの発現や、薬を指示どおり飲んでいない可能性も考える

PSAの値は、服用をやめてから6か月以内に、服用前の値に戻るとも書かれています。

PSAを測る前に、薬の名前と飲み始めた時期を伝える

どちらの患者向医薬品ガイドも、PSAの検査を受けるときは、この薬を飲んでいることを検査をする医師に伝えるよう求めています。デュタステリドは、添付文書の目安が6か月以上の服用を前提にしているため、飲み始めた時期も伝えてください。結果の見方は、検査をした医師と処方した医師に確かめてください。

肝機能の検査値と添付文書の記載

特定健診の基本的な項目には、肝機能の検査としてAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)が含まれています。添付文書の副作用の項目のうち、肝臓や検査値に関する記載は、次のとおりです。

フィナステリド 重大な副作用に「肝機能障害」(頻度不明)。その他の副作用の肝臓の欄に「AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇」(頻度不明)
デュタステリド 重大な副作用に「肝機能障害、黄疸」(いずれも頻度不明)。AST、ALT、ビリルビンの上昇などを伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがあるとの記載。その他の副作用に「血中CK増加」(頻度不明)

どちらの添付文書も、薬は主に肝臓で代謝されるとしています。フィナステリドの添付文書には、肝機能障害のある患者を対象にした臨床試験は実施していないと書かれています。デュタステリドは、重度の肝機能障害のある人には投与しないこととされ、それ以外の肝機能障害のある人での薬物動態は検討されていません。

患者向医薬品ガイドは、肝機能障害の主な自覚症状として、疲れやすい、体がだるい、力が入らない、吐き気、食欲不振を挙げています。デュタステリドのガイドは、黄疸の症状として、白目や皮膚が黄色くなる、尿の色が濃くなる、体がかゆくなるも挙げています。こうした症状がいくつか同じ時期にあらわれた場合は、ただちに医師または薬剤師に相談するよう求めています。

添付文書は医師に向けて、観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与を中止するなど適切な処置を行うこととしています。健診で肝機能の値に異常を指摘されたときは、結果の用紙を持って、処方した医師に相談してください。薬を続けるかどうかも、その医師と決めてください。これは、添付文書の記載を踏まえた、このサイトからの提案です。気になる症状の相談先と、副作用を報告する仕組みは、記事「副作用かもしれないと思ったときの相談先と報告の仕組み」にあります。

ミノキシジルと血圧

外用薬

この記事で読んだのは、ミノキシジルを5%配合した第1類医薬品「リアップX5」の説明書です。説明書は、高血圧の人と低血圧の人に、使う前に医師か薬剤師に相談するよう求めています。血圧に影響を及ぼす可能性が考えられるためです。心臓や腎臓に障害のある人、むくみのある人も、同じく相談する人に挙がっています。

使用後に胸の痛み、心拍が速くなる、原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみなどがあらわれた場合は、副作用の可能性があるとしています。説明書は、この場合は直ちに使用を中止し、説明書を持って医師か薬剤師に相談するよう求めています。健診で血圧の値を指摘されたときは、高血圧の人と低血圧の人は使う前に相談するというこの記載を踏まえて、説明書を持って医師か薬剤師に相談するのが、このサイトからの提案です。

内服薬

日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」は、ミノキシジルは降圧剤として開発されたが、日本では認可されていないとしています。男性型脱毛症の治療薬として認可している国もないと書かれています。推奨度はD(行うべきではない)です。

同じガイドラインは、内服用製剤の添付文書の市販後調査欄に、胸痛、心拍数増加、動悸、息切れ、呼吸困難、うっ血性心不全、むくみや体重増加などの重大な心血管系障害の記載があるとしています。いずれも2017年当時の記述です。外用薬と内服薬の違いは、記事「ミノキシジルの外用薬と内服薬の違いと承認の状況」にあります。

健診の前に確かめること

以下は、添付文書、患者向医薬品ガイド、厚生労働省の資料を踏まえた、このサイトからの提案です。

  • 使っている薬の成分名と1日の量(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど)
  • 飲み始めた時期(デュタステリドは、6か月以上服用しているかでPSAの評価の目安が変わる)
  • お薬手帳か、薬の名前を書いたメモ
  • 問診票の服薬欄と、問診や診察で伝えること
  • PSAを測るかどうかと、測る場合に検査をする医師へ伝えること
  • 結果の用紙を、次の診察で処方した医師に見せること

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参考にした一次情報

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