添付文書は「通常6か月」、外用薬の説明書は「少なくとも4か月使い、6か月で相談」

国内で承認されたフィナステリドの添付文書は、3か月の連日投与で効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6か月の連日投与が必要としています。デュタステリドの添付文書は、投与開始後12週間で改善が認められる場合もあるが、治療効果を評価するには通常6か月間の治療が必要としています。どちらの添付文書も、6か月以上投与しても、フィナステリドは進行遅延、デュタステリドは改善がみられない場合は投薬を中止することとしています。6か月以上投与する場合も、定期的に効果を確認し、継続の必要性を検討することとしています。ミノキシジルを5%配合した一般用医薬品の説明書は、効果がわかるようになるまで少なくとも4か月間、毎日使うよう求めています。日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)は、ミノキシジル外用の初期に、男女ともに休止期脱毛がみられることがあり、外用の中止につながるおそれがあるため、患者への説明が必要としています。

添付文書が示す、効果を確かめる時期

この記事が参照する添付文書は、フィナステリドの「プロペシア錠」と、デュタステリドの「ザガーロカプセル」のものです。どちらも、PMDA(医薬品医療機器総合機構)のウェブサイトに掲載されています。

2つの添付文書は、「用法及び用量に関連する注意」の項で、効果を確かめる時期を次のように書いています。

効果が出るまでの期間 6か月以上使ったとき
フィナステリド 3か月の連日投与により効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6か月の連日投与が必要 進行遅延がみられない場合は投薬を中止する。6か月以上投与する場合も、定期的に効果を確認し、継続投与の必要性を検討する
デュタステリド 投与開始後12週間で改善が認められる場合もあるが、治療効果を評価するためには通常6か月間の治療が必要 改善がみられない場合は投薬を中止する。6か月以上投与する場合も、定期的に効果を確認し、継続投与の必要性を検討する

どちらの添付文書も、効果が早く現れる場合があることを書いたうえで、効果の確認や評価には通常6か月が必要としています。効果の確認や評価の目安として添付文書が示しているのは、3か月や12週間ではなく、6か月です。3か月や12週間については、どちらも「場合もある」という書き方なので、誰にでもその時期に現れるとは書かれていません。

添付文書は、医師など医療関係者に向けて作られた文書です(記事「薬の添付文書と患者向医薬品ガイドの読み方」)。「投薬を中止すること」という文も、医師など医療関係者に向けた文書の中の記載です。読む人が自分の判断で薬をやめるよう求めたものとは読めません。やめるかどうかは、診察で医師と決めるものです。やめたあとの経過は、記事「AGA治療薬の服用をやめるとき 効果は戻るのか、検査や献血への影響はいつまでか」にまとめています。

フィナステリドの添付文書は、効果を持続させるためには継続的に服用することとしています。増量による効果の増強は確認されていないとも書いています。2つの添付文書とも、適応は男性における男性型脱毛症のみで、20歳未満での安全性と有効性は確立されていないとしています。2つの薬の違いは、記事「フィナステリドとデュタステリドの違いを添付文書で比べる」で比べています。

ミノキシジル外用薬の説明書が示す時期

ミノキシジルを5%配合した第1類医薬品「リアップX5」の説明書は、冒頭で、髪が成長するには時間がかかると述べています。発毛の効果を実感するまで、少なくとも4か月間、用法・用量を守って正しく使うよう求めています。「その他の注意」の欄でも、効果がわかるようになるまで少なくとも4か月間、毎日使うことと、有効性は4か月使用後から認められていることが書かれています。

同じ説明書は、使い始めてからの期間ごとに、医師か薬剤師への相談を次のように求めています。

時期 説明書が相談を求める場合
6か月間使用したあと 脱毛状態の程度、生毛・軟毛の発生、硬毛の発生、抜け毛の程度のいずれにおいても改善が認められないとき
使用開始後6か月以内 脱毛状態の悪化や、頭髪以外の脱毛、斑状の脱毛、急激な脱毛などが見られたとき

どちらの場合も、使用を中止し、説明書を持って医師か薬剤師に相談するよう書かれています。「改善」の目安として、説明書は、太い毛だけでなく、細く短い抜け毛の減少も挙げています。説明書にはほかに、毛髪が成長する程度には個人差があり、誰にでも効果があるわけではないこと、効果を維持するには継続して使う必要があることも書かれています。なお、この説明書は男性用の製品のもので、女性と20歳未満は使用しないよう定めています。外用薬の種類と承認の状況は、記事「ミノキシジルの外用薬と内服薬の違いと承認の状況」にあります。

ガイドラインが調べた期間

日本皮膚科学会は、「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」を平成29年(2017年)に発表しました。この記事では「ガイドライン」と書きます。治療ごとの質問(CQ)で、臨床試験の観察期間を示しています。男性の男性型脱毛症について、期間を中心に読むと、次のとおりです。

CQ ガイドラインが挙げる試験の観察期間
CQ1 フィナステリドの内服 システマティック・レビューは12か月から24か月以上。日本人男性414名のランダム化比較試験は48週間で、頭頂部の写真撮影で効果を判定。その後の非ランダム化比較試験は2年間と3年間の内服継続
CQ2 デュタステリドの内服 システマティック・レビューは6か月から60か月。デュタステリドとフィナステリドを比べた国際臨床試験は6か月。国内の非ランダム化試験は52週間で、写真評価は26週と52週
CQ3 ミノキシジルの外用 2%液のシステマティック・レビューは24週。2%と5%を比べた試験は48週まで。国内の1%と5%の試験は24週まで。フォーム(泡)型5%の試験は16週まで

何を測ったかも、試験ごとに違います。フィナステリドのシステマティック・レビューでは、脱毛部1cm²あたりの硬毛数で、投与6か月後と24か月後のどちらでも、投与群がプラセボ群より有意に増加していたとされています。デュタステリドでは、頭髪の写真評価や、全毛髪数、毛の直径などが指標です。ミノキシジルの外用では、脱毛部の毛髪数や、非軟毛(nonvellus hair)の数が指標です。

ガイドラインは、フィナステリドの内服について、少なくとも6か月程度は内服を継続し、効果を確認すべきとしています。なお、内服を中止すると効果は消失するとも書いています。デュタステリドについては、CQ2で挙げた臨床試験では、1年を超える長期投与での効果や投与中止後の毛髪量の変化は検討されていないとしています。

これらは、試験に参加した人たちの集団での結果です。読む人が同じ時期に同じ変化を経験するという意味ではありません。ガイドラインの免責事項は、診療ガイドラインは個々の症例に応じて柔軟に使うもので、医師の裁量権を規制し治療方針を限定するものではないとしています。

また、ガイドラインはフィナステリドとデュタステリドの内服を、女性型脱毛症には行うべきではない(推奨度D)としています。女性の薄毛の治療は、記事「女性の薄毛で受診するときの確認点 女性型脱毛症の診断と治療の推奨度」で扱っています。

ミノキシジル外用の初期にある休止期脱毛

ガイドラインのミノキシジル外用の解説は、男女ともにミノキシジル外用の初期に休止期脱毛がみられることがあるとしています。休止期脱毛がみられると、外用を中止してしまうおそれがあるため、患者への説明が必要だと述べています。

ガイドラインがこの文で述べているのは、外用の初期に休止期脱毛がみられることがある点と、説明が必要な点です。この記事で参照した資料には、休止期脱毛が現れる時期の目安や、続けてよいかどうかの判断基準は含まれていません。

一方、先に見たとおり、一般用医薬品の説明書は、使用開始後6か月以内でも、脱毛状態の悪化や急激な脱毛などが見られたときは、使用を中止して医師か薬剤師に相談するよう求めています。参照した資料には、初期の休止期脱毛と、説明書のいう悪化の見分け方は書かれていません。抜け毛が増えたときは、自分で判断せず、医師か薬剤師に相談してください。

効果がないと感じたとき

「効果がない」と感じる時期によって、参照した資料の書き方は次のように分かれます。

6か月に届かないうち 添付文書は、効果の確認に通常6か月が必要としています
6か月以上たち、進行遅延や改善がみられないとき 添付文書は、医師に向けて投薬の中止を求めています。説明書は、使用を中止して医師か薬剤師に相談するよう求めています
6か月以内でも、悪化や急激な脱毛が見られるとき 説明書は、使用を中止して相談するよう求めています

3つとも、相談の相手は医師か薬剤師です。添付文書の用法及び用量には、医師の判断で量を変えられる範囲が書かれています(フィナステリドは1日1mgが上限、デュタステリドは0.1mgから、必要に応じて0.5mg)。そのうえで、フィナステリドの添付文書は、増量による効果の増強は確認されていないとしています。量を変えるかどうかは、処方した医師と決めるものです。リアップX5の説明書は、決められた量より多く使っても効果の増加はほとんどなく、副作用の発現する可能性が高くなるとしています。

「効果がない」という実感と、添付文書のいう「進行遅延がみられない」「改善がみられない」は、同じとは限りません。どの点を見て、変化がないと判断するのかは、診察で医師と確かめてください。

診察で尋ねること

以下は、添付文書、説明書、ガイドラインを踏まえた、このサイトからの提案です。

  • 効果を確かめる時期は、使い始めからいつか(添付文書の目安は通常6か月)
  • 効果を、どの方法で評価するのか(写真、診察での視診、本人の自覚など)
  • 評価のときに、薬を続けるかどうかを誰が決めるのか
  • 評価までの診察と薬代の合計はいくらか(月ごとの薬代に、診察料や配送料を加える)
  • まとめて処方や配送を受ける場合、評価の時期より前に支払う金額はいくらか
  • 抜け毛が増えたり、肌や体に異常を感じたりしたときの連絡先はどこか
  • 6か月たっても変化がないとき、薬を続ける場合と変える場合の選択肢と費用は何か

費用は、薬代、診察料、検査の費用、配送料を同じ項目で書き出し、評価の時期までの合計を出してください。見方は、基礎ガイド「費用を見るときのチェックポイント」にまとめています。初回の診察で伝えることと尋ねることは、記事「AGAの初回カウンセリングで聞くこと 誰が何を説明し、何を伝えるか」にあります。

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