フィナステリドの添付文書は、効果を持続させるためには継続的に服用することとし、日本皮膚科学会のガイドラインは、内服を中止すると効果は消失するとしています。ミノキシジルの外用薬の説明書も、使用を中止すると徐々に元に戻るとしています。一方で、どちらの添付文書も、医師に向けて、6か月以上投与しても進行遅延や改善がみられない場合には投薬を中止することとしています。患者向医薬品ガイドは、体調がよくなったと自己判断して使用を中止したり量を加減したりすると病気が悪化することがあるとして、指示どおりに飲み続けることが重要としています。やめた後についても、デュタステリドの添付文書はPSAの値が投与中止後6か月以内に元に戻るとしています。大阪府赤十字血液センターは、献血をフィナステリドで服薬中止後1か月間、デュタステリドで6か月間できないと案内しています。
やめると効果はどうなるか
この記事で読んだのは、国内で承認されたフィナステリドの先発品「プロペシア錠」とデュタステリドの先発品「ザガーロカプセル」の添付文書と患者向医薬品ガイド、ミノキシジルを5%配合した第1類医薬品「リアップX5」の説明書、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」です。添付文書とガイドラインが、使うのをやめた後について書いていることは、薬ごとに次のとおりです。
| フィナステリド(内服) | 添付文書は、効果を持続させるためには継続的に服用することとしている。ガイドラインは、内服を中止すると効果は消失するとしている |
|---|---|
| デュタステリド(内服) | 添付文書に、中止後の効果についての記載は見当たらない(2026年11月時点)。ガイドラインは、挙げた臨床試験では1年を超える長期投与の効果や、投与中止後の毛髪量の変化は検討されていないとしている |
| ミノキシジル(外用) | 説明書は、効果を維持するには継続して使用することが必要で、使用を中止すると徐々に元に戻るとしている。壮年性脱毛症の原因を取り除くものではないとも書いている |
| ミノキシジル(内服) | ガイドラインは、降圧剤として開発されたが日本では認可されていないとし、推奨度はD(行うべきではない)。やめた後の経過についての記載は見当たらない(2026年11月時点) |
プロペシア錠の添付文書は、3か月の連日投与で効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6か月の連日投与が必要とし、そのうえで、効果を持続させるためには継続的に服用することとしています。ガイドラインのフィナステリドの解説は、少なくとも6か月程度は内服を継続して効果を確認すべきとし、内服を中止すると効果は消失すると書いています。患者向医薬品ガイドは、この薬は体調がよくなったと自己判断して使用を中止したり量を加減したりすると病気が悪化することがあるとして、指示どおりに飲み続けることが重要としています。
ザガーロカプセルの添付文書は、投与開始後12週間で改善が認められる場合もあるが、治療効果を評価するためには通常6か月間の治療が必要としています。ガイドラインのデュタステリドの解説は、挙げた臨床試験では1年を超える長期投与での効果や、投与中止後の毛髪量の変化は検討されていないとしています。やめた後にどう変わるかを示した記載は、添付文書にもガイドラインにも見当たりません(2026年11月時点)。
リアップX5の説明書は、効果がわかるようになるまで少なくとも4か月間、毎日使うよう求めたうえで、効果を維持するには継続して使用することが必要で、使用を中止すると徐々に元に戻るとしています。ガイドラインのミノキシジル外用の解説は、男女ともに外用の初期に休止期脱毛がみられることがあり、これが外用の中止につながるおそれがあるため、患者への説明が必要としています。ガイドラインのミノキシジル内服の解説は、降圧剤として開発されたが日本では認可されていないとし、推奨度をD(行うべきではない)としています。やめた後の経過についての記載は、ガイドラインに見当たりません(2026年11月時点)。外用薬と内服薬の違いは、記事「ミノキシジルの外用薬と内服薬の違いと承認の状況」にあります。
添付文書が中止を求めている場合
患者向医薬品ガイドによると、添付文書は医療関係者向けに作成されている資料です。効果がない場合の中止も、医師に向けて次のように書かれています。プロペシア錠の添付文書は、6か月以上投与しても男性型脱毛症の進行遅延がみられない場合には投薬を中止することとしています。6か月以上投与する場合であっても、定期的に効果を確認し、継続投与の必要性について検討することも求めています。ザガーロカプセルの添付文書も、6か月以上投与しても改善がみられない場合には投薬を中止することとし、同じように定期的な確認を求めています。
副作用が疑われるときの中止も、医師の判断と結びついています。どちらの添付文書も、副作用の項目の前文で、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこととし、重大な副作用に肝機能障害を挙げています。プロペシア錠の患者向医薬品ガイドは、薬との関連性は明らかではないとしたうえで、死んでしまいたいと感じる、自殺行動をおこすなどの報告があるとしています。そう感じた場合や自殺行動をおこした場合は、この薬の使用を中止し、医師に相談するよう求めています。
リアップX5の説明書は、使う人自身が中止して相談する場面を、次のように挙げています。
- 6か月間使用して、脱毛状態の程度、生毛や軟毛の発生、硬毛の発生、抜け毛の程度のいずれにも改善が認められない場合は、使用を中止して医師か薬剤師に相談すること
- 使用開始後6か月以内であっても、脱毛状態の悪化や、頭髪以外の脱毛、斑状の脱毛、急激な脱毛などがみられた場合は、使用を中止し、説明書を持って医師か薬剤師に相談すること
- 胸の痛み、心拍が速くなる、原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみなどがあらわれた場合は、副作用の可能性があるため、直ちに使用を中止し、説明書を持って医師か薬剤師に相談すること
説明書は、改善がない場合や脱毛のしかたが変わった場合について、壮年性脱毛症以外の脱毛症であったり、脱毛がほかの原因によるものである可能性があるとしています。中止と相談を切り離さないでください。気になる症状の相談先と、副作用を報告する仕組みは、記事「副作用かもしれないと思ったときの相談先と報告の仕組み」にあります。
やめた後も残ること
PSAの値
ザガーロカプセルの添付文書は、PSA(前立腺特異抗原)の値は、投与中止後6か月以内に投与開始前の値に戻るとしています。同じ添付文書は、6か月以上投与している人の値を評価するときは、測定値を2倍した値を目安として基準値と比べることも求めています。プロペシア錠の添付文書も、国内の24歳から50歳の男性型脱毛症患者でPSAの濃度が約40%低下したとして、前立腺がんの診断の目的で測る場合は2倍した値を目安に評価することとしています。やめた後に値が戻るまでの期間は、見当たりません(2026年11月時点)。やめてから間もない時期にPSAを測るときは、飲んでいた薬の名前と、やめた時期を検査をする医師に伝えてください。健診での伝え方は、記事「AGA治療薬を使っているときの健康診断 PSAと肝機能の値」にあります。
献血の期間
大阪府赤十字血液センターは、フィナステリドの薬は服薬中止後1か月間、デュタステリドの薬は服薬中止後6か月間、献血できないと案内しています。薬をやめた後も、この期間は献血の問診で薬の使用を伝えてください。献血を目的に薬をやめることについての日本赤十字社の案内は、記事「AGA治療薬を使っているときの献血 問診で聞かれる薬と期間」にあります。
やめた後も続いたとの報告がある副作用
プロペシア錠の添付文書は、その他の副作用のリビドー減退、勃起機能不全、射精障害について、市販後において投与中止後も持続したとの報告があると注記しています。ザガーロカプセルの添付文書も、性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害)について、投与中止後も持続したとの報告があると注記しています。やめた後も症状が続くときは、やめたことを理由に相談を先送りしないでください。
精液の質
プロペシア錠の添付文書は、精液の質の低下について、投与中止後に正常化または改善されたとの報告があると注記しています。ザガーロカプセルの添付文書は、18歳から52歳の健康成人27例を対象にした海外の臨床試験で、52週間の投与と24週間の投与後の追跡を通して精液特性への影響を評価したとしています。総精子数の投与前値からの平均減少率は、24週間の追跡期間後も23%のままであったと書かれています。同じ記載は、いずれの評価時期でも、全ての精液パラメータの平均値は正常範囲内であったとしています。一方で、2例では投与52週目に投与前値から90%を超える精子数の減少が認められ、追跡24週目には軽快したとも書かれています。精液特性に及ぼす影響が個々の患者の受胎能に対してどのような臨床的意義をもつかは、不明とされています。子どもを望んでいるときは、やめる前でもやめた後でも、処方した医師に伝えて相談してください。
定期配送や定期購入の途中でやめるとき
薬を使うのをやめても、定期配送や定期購入の契約は自動では終わりません。解約の期限と方法、途中でやめた場合に残りの代金がどうなるかは、申込みのときの最終確認画面と契約条件で決まります。確かめる項目は、記事「定期購入の最終確認画面で見るべき6つの項目」に、AGA治療のオンライン診療で目立つ事例は、記事「AGA治療のオンライン診療で目立つ「処方薬の定期購入」のトラブル」にあります。
手元に残った薬について、プロペシア錠の患者向医薬品ガイドは、絶対にほかの人に渡してはいけないとし、余った場合は処分の方法について薬局や医療機関に相談するよう求めています。
やめる前に医師に確かめること
以下は、添付文書、患者向医薬品ガイド、ガイドラインの記載を踏まえた、このサイトからの提案です。
- やめたい理由(効果を感じない、気になる症状がある、費用が続かないなど)
- 使い始めてからの期間と、効果を確認する時期(添付文書の目安は6か月)に当たるかどうか
- 気になる症状があるとき、やめた後も続く場合の相談先
- PSAの検査や健診、献血の予定があるかどうかと、やめた後に伝える期間
- 子どもを望んでいるかどうか
- 定期配送や定期購入の解約の期限と方法
- 余った薬の扱い
次に読む
- フィナステリドとデュタステリドの違いを添付文書で比べる
- AGA治療薬を使っているときの健康診断 PSAと肝機能の値
- AGA治療薬を使っているときの献血 問診で聞かれる薬と期間
- 薬の添付文書と患者向医薬品ガイドの読み方(添付文書を自分で読むとき)
参考にした一次情報
内容を確認するときは、各機関が公開する最新版もあわせてご覧ください。
- PMDA 医療用医薬品の添付文書等「フィナステリド」プロペシア錠の添付文書(2023年8月改訂・第4版。7、11.2、12、16.1)と患者向医薬品ガイド(2025年12月作成)
- PMDA 医療用医薬品の添付文書等「デュタステリド」ザガーロカプセルの添付文書(2025年8月改訂。7.1、7.2、8.2、11.2、15.1.1)
- PMDA「リアップX5」説明書PDF・一般用医薬品(第1類医薬品)の添付文書。使用上の注意、その他の注意。2026年11月3日に確認
- 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」PDF・CQ1(フィナステリド)、CQ2(デュタステリド)、CQ3(ミノキシジル外用)の解説
- 大阪府赤十字血液センター「献血いただく前にご確認ください」服薬中の献血の可否。フィナステリドとデュタステリドの服薬中止後の期間