フィナステリドとデュタステリドの添付文書は、どちらも処方箋医薬品と表示しています。医薬品医療機器等法(薬機法)の第49条は、薬局開設者や医薬品の販売業者が、処方箋の交付を受けた者以外に、正当な理由なく、厚生労働大臣の指定する医薬品を販売または授与することを禁じています。この2つの薬が指定に当たるかは、この記事で参照した資料には書かれていません。オンライン診療の初診の場合、厚生労働省の指針は、基礎疾患等の情報が把握できていない患者への8日分以上の処方などを行わないこととしています。
添付文書の規制区分には何と書かれているか
ここで取り上げるのは、PMDA(医薬品医療機器総合機構)のウェブサイトで公開されている、フィナステリドの「プロペシア錠」と、デュタステリドの「ザガーロカプセル」の添付文書です。以下では、それぞれ「フィナステリドの添付文書」「デュタステリドの添付文書」と書きます。冒頭の表示を、読みやすいようにまとめると次のとおりです。
| フィナステリドの添付文書 | 劇薬、処方箋医薬品(注意-医師等の処方箋により使用すること) |
|---|---|
| デュタステリドの添付文書 | 劇薬、処方箋医薬品(注意-医師等の処方箋により使用すること) |
効能又は効果は、フィナステリドの添付文書が「男性における男性型脱毛症の進行遅延」、デュタステリドの添付文書が「男性における男性型脱毛症」です。どちらの添付文書も、男性における男性型脱毛症のみの適応であり、他の脱毛症に対する適応はないとしています。20歳未満での安全性と有効性は確立されていないとも書かれています。用量や禁忌、副作用の違いは、記事「フィナステリドとデュタステリドの違いを添付文書で比べる」にあります。
用法及び用量に関連する注意として、プロペシア錠の添付文書は進行遅延が、ザガーロカプセルの添付文書は改善が、6か月以上の投与でもみられない場合に、投薬を中止することとしています。プロペシア錠の添付文書は、効果を持続させるには継続的に服用することともしています。そのうえで、どちらの添付文書も、6か月以上投与する場合は定期的に効果を確認し、継続投与の必要性を検討することとしています。
処方箋のない販売について、薬機法第49条は何と定めているか
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年(1960年)法律第145号。以下「薬機法」)の第49条は、見出しが「処方箋医薬品の販売」です。第1項は、薬局開設者または医薬品の販売業者に宛てた規定で、趣旨は次のとおりです。
- 医師、歯科医師または獣医師から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して
- 正当な理由なく
- 厚生労働大臣の指定する医薬品を販売し、または授与してはならない
ただし書きで、薬剤師等に販売し、または授与するときは、この限りでないとされています。第2項は、処方箋の交付を受けた者に販売または授与したときに、帳簿へ記載すること、第3項は、その帳簿を最終の記載の日から2年間保存することを定めています。
この条文が直接に定めているのは、売る側の薬局開設者と医薬品の販売業者の義務です。条文の中の「正当な理由」がどのような場合を指すのかと、どの品目が「厚生労働大臣の指定する医薬品」に当たるのかは、この記事で参照した資料には書かれていません。個別の薬の扱いは、添付文書の規制区分を見たうえで、薬剤師や医療機関に尋ねてください。
来院して処方を受ける場合
来院して診察を受ける場合の流れは、基礎ガイド「予約から診療後までの流れ」にあります。第49条は、処方箋を交付する者として「医師、歯科医師又は獣医師」を挙げています。男性型脱毛症の診察をどの診療科で受けられるかは、医療機関のサイトや、予約の前の問い合わせで確かめてください。
診察で聞かれる内容と、医師に伝えておきたい情報は、記事「AGAの初回カウンセリングで聞くこと 誰が何を説明し、何を伝えるか」にまとめています。いま服用している薬や持病は、診察の前に書き出しておいてください。
薬を院内で受け取るのか、処方箋を持って薬局へ行くのかは、医療機関によって異なる場合があります。この記事で参照した資料には、来院型の医療機関での受け取り方を定めた記載は含まれていません。予約の前に、薬代の支払いと受け取りの方法を医療機関に尋ねてください。
オンライン診療で処方を受ける場合
オンライン診療の進め方は、厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(令和8年(2026年)4月改訂。以下「指針」)に定められています。初診の原則と例外は、記事「初診からオンライン診療を受けるときのルール」で説明しています。ここでは、処方に関する部分だけを取り上げます。
指針の「薬剤処方・管理」の考え方は、次のとおりです。
- 医薬品の使用は多くの場合副作用のリスクを伴う
- 処方する前に、患者の心身の状態を十分評価できている必要がある
- 現在のオンライン診療は診察手段が限られ、初診で必要な医学的情報を得ることが困難な場合があるため、初診から安全に処方することができない医薬品がある
指針の「最低限遵守する事項」には、初診からのオンライン診療の場合と、新たな疾患に処方する場合に、診療ガイドラインを参考にすることが挙げられています。例は、日本医学会連合の「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」です。そのうえで、初診の場合には、次の処方は行わないこととされています。
- 麻薬および向精神薬の処方
- 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品(診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤)の処方
- 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、8日分以上の処方
3つ目の条件は、「基礎疾患等の情報が把握できていない患者」への「8日分以上」の処方です。指針の文言のとおり、この制限は初診の場合の定めで、対象は基礎疾患等の情報が把握できていない患者です。
指針は、これとは別に、医師は患者が現在服薬している医薬品を確認しなければならないとしています。その際、患者は医師に対して正確な申告を行うべきだとしています。飲んでいる薬やサプリメント、これまでの副作用の経験は、聞かれたときに正確に答えてください。かかりつけ薬剤師・薬局のもとで医薬品を一元管理することは、推奨される事項として、医師が患者に求めることが望ましいとされています。
指針には、フィナステリドやデュタステリドだけに向けた処方日数の定めは載っていません。上の8日分以上の制限は、薬の種類を問わず、初診で基礎疾患等の情報が把握できていない患者に適用される定めです。2つの添付文書の用法及び用量にも、処方日数の定めは含まれていません。診療報酬の取扱いなど、この記事で確かめていない定めがほかにあるかどうかは、医療機関に尋ねてください。1回に何日分が処方されるかは、診察のときに医師に確かめてください。
薬が手元に届くまで
オンライン診療のあとに薬を受け取る方法は、大きく2通りあります。医療機関から直接届く場合と、処方箋をもとに薬局が調剤して届ける場合です。薬局の場合は、薬剤師の服薬指導を受けてから薬が届きます。処方箋を受け取って自分で薬局へ行き、対面で服薬指導を受ける方法もあります。それぞれの扱いと、受け取るまでに確かめることは、記事「オンライン診療で処方された薬が届くまでのルール」にまとめています。
このサイトからの提案として、次回分の薬が診察を経て処方されるのかも、受け取り方とは別に確かめてください。記事「定期購入の最終確認画面で見るべき6つの項目」が、申込みの最終画面で見る項目を挙げています。
処方箋のない入手と、個人輸入は別の話
「処方箋なし」で入手する方法として、海外から取り寄せる個人輸入が挙げられることがあります。厚生労働省のページ「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」は、個人輸入される医薬品等には、国内で薬機法を遵守して販売されている医薬品等と比べて、保健衛生上の危険性があると説明しています。同ページは、その理由として、品質、有効性、安全性について、日本の薬機法に基づく確認がなされていないことを挙げています。
同じページは、医薬品には、安全に使うために医師による診察、処方および経過観察が必要とされているものがあると書いています。そのような医薬品を、医療機関を受診せずに安易に個人輸入して使用した場合、安全性が著しく損なわれるとしています。個人輸入された医薬品による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の救済対象にならないとも説明しています。このページが述べているのは、海外から取り寄せる場合の危険性です。国内での販売について定めた第49条とは、別の話として読んでください。詳しくは、記事「医薬品の個人輸入を考える前に確認したいこと」にあります。
ミノキシジルの処方と購入
ミノキシジルは、外用薬と内服薬で、国内での扱いが異なります。記事「ミノキシジルの外用薬と内服薬の違いと承認の状況」によると、頭皮に塗る外用薬には、医師の処方箋が要らない一般用医薬品として国内で承認された製品があります。内服薬は、日本皮膚科学会のガイドライン(2017年版)が日本では認可されていないとしており、推奨度はD(行うべきではない)です。ミノキシジルの内服薬を使う治療を提案されたときは、未承認の薬であることと、その薬を選ぶ理由を医師に確かめてください。
予約の前にそろえること
以下は、添付文書、薬機法、指針、厚生労働省のページを踏まえた、このサイトからの提案です。
- いま飲んでいる薬とサプリメント、持病、これまでの副作用の経験を書き出した
- 来院で受けるか、オンライン診療で受けるかを決めた
- 薬を院内で受け取るのか、薬局で受け取るのか、配送されるのかを確かめた
- 初診で処方される日数と、2回目以降の診察の有無を確かめた
- 処方される薬の成分名を控え、添付文書の場所を確かめた
次に読む
- 初診からオンライン診療を受けるときのルール(初診の原則と、診療前相談)
- AGA治療はオンライン診療と来院のどちらで受けるか 違いを比べる項目
- 医薬品の個人輸入を考える前に確認したいこと
- 薬について確認したい基礎知識(基礎ガイド)
参考にした一次情報
内容を確認するときは、各機関が公開する最新版もあわせてご覧ください。
- PMDA 医療用医薬品の添付文書等「フィナステリド」プロペシア錠0.2mg/1mgの添付文書(2023年8月改訂・第4版)。規制区分、効能又は効果、用法及び用量
- PMDA 医療用医薬品の添付文書等「デュタステリド」ザガーロカプセル0.1mg/0.5mgの添付文書(2025年8月改訂・第2版)。規制区分、効能又は効果、用法及び用量
- e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」法令番号は昭和35年法律第145号。第49条(処方箋医薬品の販売)。2026年11月4日に確認
- 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」PDF・令和8年4月改訂。Ⅴ1(5)薬剤処方・管理の考え方、最低限遵守する事項、推奨される事項
- 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」医薬品等の個人輸入は健康被害などの危険性があります